訪問看護とは?訪問看護師の仕事内容や必要な資格をわかりやすく解説!

看護師 訪問
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2024.11.29更新

「訪問看護師って何をするの?」と疑問を持っている人は多いです。訪問看護師は、患者さんの自宅を訪れて、日常生活の支援から専門的な医療処置まで幅広いケアを提供します。この記事では、訪問看護師の仕事内容や働く場所、やりがいやよくある質問などを詳しく説明します。

記事を読めば、訪問看護師の仕事を理解でき、興味を深めることができます。

この記事の目次

訪問看護師の仕事内容

訪問

訪問看護師の主な仕事内容は、以下のとおりです。

  • 健康状態の観察
  • 日常生活の看護
  • 診療の補助
  • 医師の指示にもとづいた処置
  • リハビリテーション
  • ターミナルケア
  • 看取り

訪問看護師はさまざまな役割を持ち、患者さんと家族が安心して最期を迎えられるように支援します。

健康状態の観察

健康状態の観察では、以下の内容を行います。

  • 患者さんの体温や血圧、心拍数などの基本的な生命徴候の測定
  • 皮膚の状態や水分摂取量、排泄の記録
  • 患者さんの食事摂取や栄養状態の評価
  • 慢性疾患や病状の進行のモニタリング
  • 薬の管理と服薬支援

訪問看護師が日常生活の看護をするには、観察と記録が重要です。

日常生活の看護

日常生活の看護には、食事や入浴、排泄といった基本的な生活活動の支援を含みます。治療しながら生活の質を保つためのアドバイスや疾患の管理指導も重要な役割です。日常生活の看護は、患者さんが自宅で安全かつ快適に生活できることを目指します。患者さんの自立を促し、病気と向き合う心理的な負担を軽減できます。

生活環境の安全確認や改善提案をして、必要に応じて特別な器具や設備の使用方法についての指導が必要です。患者さんの健康維持と疾患の再発防止に努め、患者さん一人ひとりのニーズに合わせた個別のケアが大切です。

診療の補助

訪問看護師は診療の補助として、以下の業務を行います。

  • 患者さんの服薬管理や指導
  • 検査の準備や後片付け
  • 医療処置の準備支援
  • 処置の際の医師の補助

診療記録の整理と管理を通じて、治療の進行状況を正確に把握し、適切なケアが行われるようサポートします。診療の補助は、患者さんに質の高い医療サービスを提供するために不可欠です。訪問看護師は、患者さんの健康と安全を支え、治療の成功に大きく貢献します。

医師の指示にもとづいた処置

クリニック

訪問看護師による「医師の指示にもとづいた処置」は、患者さんの健康状態の安定や症状の改善に重要です。医師が診断や治療計画にもとづいて指示し、看護師は遵守して実施します。急な痛みの管理や栄養状態のサポートなど、患者さんの状態に応じた適切な調整も業務の一環です。

経管栄養の準備と管理も担い、必要に応じて医療器具の使用や検体採取も加わることがあります。

リハビリテーション

リハビリテーションは、患者さんの運動機能や日常生活動作(ADL)の維持・向上を目指す治療法です。患者さんに合わせたリハビリテーションプログラムを提供すると効果的です。定期的な機能評価を行い、リハビリテーションプランを見直すと、患者さんの健康状態や生活の質の向上が期待できます。

家族も巻き込めば、患者さんのサポート体制を強化でき、リハビリテーションの効果を高められます。

ターミナルケア

ターミナルケアは、末期患者さんが人生の最終段階をより快適に過ごせるよう支援する看護のことです。患者さんの心身の苦痛を最小限に抑え、尊厳を保ちながら最期を迎えられるようにするのが目的です。痛みや不快感を適切に管理する緩和ケアが重要であり、患者さんだけでなく、家族の精神的なサポートもします。

看護師は、患者さんや家族に対して死についての教育や相談を行い、心の準備を助けることも求められます。患者さんの意志を尊重した看護計画を作成し、実行に移しましょう。

看取り

看取りとは、末期がんなどで余命が限られた患者さんの最期をサポートする大切な役割です。主に行うサポート内容は以下のとおりです。

  • 症状の管理と心のケア
  • 家族へのサポート
  • 痛みや苦痛を軽減するための緩和ケア

患者さんの意志を尊重し、悔いのない生活が送れるよう努める必要があります。
» 看護師の仕事内容とは?働く場所や必要な資格、給料の詳細を解説

訪問看護師に求められるスキル

スキル

訪問看護師に求められるスキルは以下のとおりです。

  • 幅広い医療知識と実践的スキル
  • 自主性と判断力
  • コミュニケーションスキル
  • 精神的な強さとストレス耐性

幅広い医療知識と実践的スキル

訪問看護師には、病院で働く看護師以上に幅広い医療知識と実践的スキルが求められます。患者さんのバイタルサインを測定し、変化を見逃さない観察力が必要です。褥瘡(じょくそう)※の予防や創傷処置、カテーテル管理といったスキルも欠かせません。呼吸ケアや経管栄養、吸引などの専門的な処置が必要なケースもあります。

訪問先で緊急事態が発生する場合もあるため、初期対応が重要です。患者さんの容体が急変した際には、医師の指示を仰ぐ前に適切な処置を施す判断力と技術が必要です。訪問看護師は、患者さんの安全を守り、生活の質を向上させる重要な役割を果たします。

※褥瘡とは、同じ姿勢で寝たきりになるなど、皮膚が床に接して圧迫されると起こる症状です。

自主性と判断力

訪問看護師は、患者さんの自宅でケアを行う場面が多いです。自宅での判断が結果に直結するため、高い自主性と的確な判断力が求められます。訪問先で医師や他職種と直接相談できない場合も多いので、自分で状況を分析し、状態に応じた判断力が不可欠です。主に行う対応として、以下が挙げられます。

  • 患者さんの体調の変化を見極める
  • 緊急時に医師へ連絡するタイミングや対応方法を判断する
  • 医療機器などのトラブル発生時に応急処置を行う
  • 患者さんや家族からの質問や不安に正確かつ迅速に対応する

コミュニケーションスキル

ナース

訪問看護師は、患者さんや家族との信頼関係の構築が大切です。プライベートな空間で医療を受けるため、安心感を持ってもらうことが重要です。患者さんの話に耳を傾け、気持ちやニーズを理解することが求められます。患者さんが治療やケアに対して不安を感じている場合、気持ちに寄り添って説明し、安心感を与えましょう。

患者さんの家族も訪問看護の一部を担うことが多いため、家族の意見を尊重し、ケアを進める協力体制を築くスキルも必要です。医師やリハビリスタッフ、ケアマネージャーなど、他職種との連携を円滑に行うための調整力も訪問看護師には欠かせません

精神的な強さとストレス耐性

訪問看護では、患者さんの人生最後の瞬間に立ち会うこともあります。精神的な強さが求められる場面が多々あります。ターミナルケアや看取りの場面では、患者さんや家族に寄り添いながらも、自分自身の冷静さを保つことが必要です。

訪問先の環境は患者さんごとに大きく異なり、予期せぬ状況に直面する場合もあるので、ストレスに対処する能力も必要です。仕事と私生活のバランスを保ちながら、定期的に自己ケアを行うことが推奨されます。同僚や上司に相談して、精神的な負担を軽減するのも効果的です。

訪問看護師が働く場所

場所

訪問看護師の主な勤務先は、以下のとおりです。

  • 訪問看護ステーション
  • 病院
  • クリニック(診療所)

各施設では、看護師が患者さんの自宅に出向き、必要な医療やケアを提供します。

訪問看護ステーション

訪問看護ステーションは、医師の指示のもとで、看護師が患者さんの自宅を訪問し、医療サービスを提供します。通院が難しい高齢者や障害を持つ方々、慢性病を抱える方々が、自宅で適切な医療を受けることが可能です。患者さんの健康状態を支え、生活の質向上のサポートをします。

病院

病院での訪問看護師の役割は、患者さんが入院後、安心して生活できるよう支援することです。退院後も患者さんの状態に応じて適切なケアが行えるよう、他の医療スタッフと協力し継続的なサポートを提供します。訪問看護師は、病院内外で患者さんの健康管理と支援を行う重要な役割を担っています。

クリニック(診療所)

クリニックは、地域に根ざした小規模な医療施設です。一般的な健康問題の診断や治療が行われ、主に外来患者さんが対象になります。日常的な健康管理や予防医療の提供にも重点を置いており、地域住民の健康を支える基盤です。

クリニックは数人の医師で運営しており、患者さん一人ひとりに対して細やかな診療が可能です。一般診療だけでなく、必要に応じて専門的な治療を行うこともあります。地域におけるクリニックの存在は、住民が安心して生活するうえで欠かせない要素です。

訪問看護師の1日

訪問看護師の1日は、以下の業務をこなす必要があります。

  • 朝の準備と利用者のスケジュール確認
  • 利用者宅への移動
  • 健康状態のチェックと必要な医療処置
  • リハビリテーションのサポート
  • 日常生活の支援とアドバイス
  • 医師や他の医療スタッフとの連絡・報告
  • 利用者とのコミュニケーションや相談
  • 訪問記録の更新と次回訪問の計画
  • 1日の終了と自己評価

日々の積み重ねが、質の高い看護サービスを提供するための基盤になります。
» 看護師の働き方の種類や場所、選ぶときのポイントを解説!

訪問看護師のやりがい

看護師

訪問看護師の仕事は、多くの人にとって大きなやりがいを感じられる職種です。訪問看護師のやりがいとして、以下が得られます。

  • 利用者の意思を最大限尊重できる
  • 幅広い知識が身に付く
  • 夜勤がなく時間の調整がしやすい

訪問看護師は、自己成長を促すとともに、社会貢献も実感できる仕事です。

利用者の意思を最大限尊重できる

利用者の意思を最大限尊重できることは、訪問看護師がやりがいを感じられるポイントです。利用者が自分の生活を主体的にコントロールし、自己決定を行えるように支援します。利用者の日常生活や習慣に配慮しながら、ニーズに合わせたケアプランを作成して施行します。ケアの計画時は利用者とのコミュニケーションを大切にし、利用者の意見を反映させることが大切です。

利用者の自立を支援し、可能な限り自宅での生活を継続できるよう助けることも、訪問看護師の重要な役割です。利用者の意思を尊重し、それぞれのニーズに応じたケアは、心地良いサポートを提供するうえで欠かせません。

幅広い知識が身に付く

訪問看護師の魅力は、幅広い知識が身に付くことです。訪問看護師はさまざまな疾患や状態の患者さんと接する機会が多いため、幅広い医療知識を必要とします。病院勤務と異なり、家庭環境でのケアを行うので、より多様なスキルが求められるからです。

病状の微妙な変化を見逃さない高い観察力を養えます。緊急時には迅速かつ正確な判断を下す能力や、臨床的な判断力も高められます。訪問看護師としての専門スキルを磨くだけでなく、あらゆる医療現場で役立つ知識と技術を身に付けることが可能です。

夜勤がなく時間の調整がしやすい

訪問看護師の仕事は、主に日勤で行われるため、夜勤がほぼ不要です。日中に働き、夜は自宅で過ごせます。夜勤がないため、生活リズムが安定しやすいです。勤務時間や休日は自分のスケジュールに合わせて調整できるため、プライベートな時間を重視する人にもおすすめです。

家庭を持つ看護師や子育て中の人には、家庭生活とのバランスを保ちやすい環境が整っています。緊急の呼び出しが少ないため、プライベートの予定も立てやすいです。
» 看護師のやりがいとは?やりがいを感じにくくなったときの対処法

訪問看護師になるために必要な資格

資格

訪問看護師になるには、看護師資格(正看護師または准看護師)の取得が必要です。訪問看護の分野で専門性を持つためには、以下の資格も有利に働く可能性があります。

  • 保健師資格
  • 理学療法士・作業療法士
  • 認定看護師資格
  • 精神保健福祉士

ケアマネージャーの資格があれば、利用者のケアプランの作成や管理など、より高度な業務を行えます。就職時に有利な立場を確保できるだけでなく、訪問看護の仕事で専門性を発揮し、利用者からの信頼を得やすいです。
»看護師の資格は主に2種類! 取得方法と試験内容について解説
» 認定看護師になるには?メリットや、なるための費用を解説

訪問看護師のよくある質問

訪問看護師のよくある質問は以下のとおりです。

  • 訪問看護の頻度はどれくらい?
  • 訪問看護と訪問介護の違いはある?
  • 緊急事態が発生したときはどうすればいい?

正確に理解して、訪問看護サービスの理解を深めましょう。

訪問看護の頻度はどれくらい?

訪問看護の頻度は、患者さんの健康状態や必要とするケアの内容によって大きく異なります。週に1~数回の訪問が多いですが、症状が重い場合や急性期の患者さんの場合には、日常的に看護師が訪れることもあります。訪問の頻度は医師の指示にもとづいて決定するので、個々の患者さんに最適な看護を提供することが可能です。

長期にわたる支援が必要な慢性病の患者さんも多いので、生活の質を保つためには継続的なケアが重要です。

訪問看護と訪問介護の違いはある?

訪問看護と訪問介護は提供されるサービスの種類が大きく異なります。訪問看護は、医師の指示のもと、看護師や理学療法士が行う医療行為が中心です。薬の管理や点滴、創傷ケアなどが含まれ、健康状態の維持や病状の悪化防止が主な目的です。

訪問介護は、介護職員による日常生活の支援を行います。サービス内容には、食事の提供や入浴支援、排泄の援助やレクリエーション活動などがあります。主に高齢者や障害者の社会参加を促進する目的で提供しており、介護保険をもとにしたサービスが多いです。

訪問看護は「医療サービス」として位置づけられ、訪問介護は「生活支援サービス」として位置づけられています。必要とされるサポートの性質に応じて選択することが重要です。

緊急事態が発生したときはどうすればいい?

緊急事態が発生した場合、以下の行動をとりましょう。

  • まず落ち着いて、緊急事態の性質を正確に把握する
  • 利用者の安全を確保する
  • 必要に応じて、119番(救急車)または最寄りの医療機関に連絡する
  • 訪問看護ステーションへの報告を忘れずに行う
  • 利用者や家族に対して、発生した事態と取った対処法を説明する

発生した事態の詳細を記録し、後のフォローアップのために整理することも忘れずに行います。

まとめ

訪問看護師は、多岐にわたる仕事をこなします。利用者一人ひとりに最適なケアを提供するため、健康観察や日常生活の支援など、幅広い知識とスキルが求められる職業です。働く場所は訪問看護ステーションや病院、クリニックなど、それぞれの場で利用者のニーズに合わせた看護を行う必要があります。

看護師資格が必須であり、専門的な資格を持つとキャリアの幅がさらに広がります。訪問看護師の仕事は、利用者の生活を直接支えることで、大きな達成感を得られる魅力的な職業です。多くのやりがいが感じられる職業なので、選択肢の一つとして考えましょう。

blog運営者とわこ
助産師歴20年以上、転職を5回経験し、異業種にも一度挑戦しました。その中で特に感じたのは、転職がいかに難しく、そして大切なものかということです。

このブログでは、助産師が転職に失敗しないためのアドバイスや、私自身の経験談をシェアしていきます。皆さんが自分に合ったキャリアを見つけ、自分らしく働けるようにお手伝いしたいと思っています。
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